口うるさい先生は良い先生!?
「梅さん、ダメだよ、そんな英語使っちゃあ!」。
英語の辞書をめくりながら、メールをしている私の姿を目ざとく見つけたロイ・キヨタさん。「どれどれ」とパソコン画面をのぞいてニヤリ。「意味が通じればいい」とする私の意見を受け流し、「英語圏の人たちが使うような表現でないとダメ。第一、梅さんの品格にもかかわるでしょ」と譲りません。結局、「私の言うように直してください」との助言に素直に従って、書き改めました。
最後に、「ちょっと見せて。うん、まとまった良い文章になりました。2200円いただきます、きょうの講師料として」。もちろん、これはロイさんと私の間の冗談。ロイさんに英語を教えてもらうとき、私が「おでん一品」「焼き鳥3本」「ビール付きおでん5品」など、難易度に応じてロイさんに頼んできましたが、実際に授業料を払ったことは一度もありません。「これまでにたまった授業料は、一体、いくらになるんだろうね?」 と、笑い合っています。
私にはいろいろな専門分野の先生がいます。そして、口うるさい先生ほど、生徒のことを思う良い先生のような気がします。
さて、英語メールの宛て先はニューヨークです。30年前、金沢で一緒に少林寺拳法を修行していたアメリカ人のH君から「お盆に金沢に行く」との連絡が突然入ったのです。その日程調整や家族の近況などをやり取りしていた姿をロイさんに見られたのでした。当時、独身青年だったH君はその後、帰国して日本人女性と結婚、一男をもうけました。17歳になったその子を連れて、青春時代を過ごした町を旅行したいというのです。
「あの喫茶店はまだありますか? あのカレー屋にもまた行ってみたい」。メールの中身は、そんな他愛もないことですけれど、スペルを忘れたり、それ以前に店の固有名詞を思い出せなかったりと、記憶力の衰えを感じつつ、パソコンに向かっています。
H君は金沢で英語の補助講師(ALT)をしていました。帰国したあとは日系の運送会社に勤めました。そのことを記すと、「5年前からニューヨークの高校で数学の教師をしている」と言います。大柄だけど、哲学者のように思慮深いH青年の風貌と、論理的で物静かな話し方を思い出しました。
「数学の先生は君にぴったりの職業、天職だと思うよ」。H君と再会したら、こう言おうと思います。
あれ? 天職って英語でどう言うんだったっけ? ロイさん、教えて。生ビールの中ジョッキ1杯でどう? えっ! 商品券がいいって?
それじゃあ、まるでどこかの県教委みたいじゃないの。
オショクジケン、お食事券ならいいけど、汚職事件はダメよ。















