月並みな質問ではなく、銀メダリストに聴きたいこと
北京オリンピックが終わり、日本のメダルの数が少なかったとか、金メダルでなくて残念だったとか、いつものように総括が始まっています。私は、節度ある愛国心や祖国愛の持ち主だと自負しますけれど、こと、国別のメダルの数争いになると、そればかりを言上げる人たちやメディアとはついつい距離を置いてしまいます。「60億の地球人の中で、トップ10に入るだけでも素晴らしいことじゃないか!」と。
話はさておき、今回の五輪で一番興味を持ったのはフェンシングです。太田選手が見事、銀メダルに輝きました。一躍、フェンシングという日本のマイナー競技に脚光が浴びたわけですが、私がインタビュアーなら絶対に聴きたいことがあります。太田選手はフルーレという種目です。フェンシングには、このほかにエペ、サーブルがあり、「3つの種目のどこがどう違うのか、なぜあなたはフルーレを選んだのか」と突っ込み、テレビ記者ならば3つの違いを映像で分かりやすく紹介したでしょうに。
そんなことを職場でいつものように大声でカンカンガクガクしていると、「梅さん、それはねえ」と身を乗り出してくる人がいました。ある時は私の英語とオールディーズの先生、また、ある時は野鳥の師匠、そして、元貴族の高貴な家柄という幅広い顔を持つロイ・キヨタさんです。
「梅さん、僕、高校時代から父親の命令でフェンシングをやっていました。指導者であるマスターの資格を持っていますよ」。へえ、と感心する私たちに、ロイさんが次のことを教えてくれました。フルーレは、相手の攻撃を受けてから反撃するルールで攻撃は上半身への突きのみ。これに対して、エペは相手の攻撃を待たずに相手の全身を突いてもよく、危険なことから「殺人剣」と呼ばれています。サーブルは、上半身への突きのほか、斬ることも許され、騎乗での闘いから由来し、馬を傷めないような動きから「愛馬剣」とも言われているそうです。また、剣の重さや形、剣先などがそれぞれに違っていて、競技用語はすべてフランス語。優雅なフランス語の響きとは裏腹に、「練習や試合はもう大変。防具を着ていても突かれると痛くてねえ。特にエペの剣先は鋭くて、胸あたりがアザだらけになりましたよ。試合中に大ケガしたこともあるんです」と、ロイさん。左手を上げて突くマネをするその姿が様になっています。
「じゃあ、ロイさん、金沢工大にフェンシング部、いや、同好会を作りましょう。僕も少林寺拳法の傍ら、練習に顔を出します」。この私の呼びかけに、ひんやりした目つきでロイさんは言葉を返します。「梅さん、あのねえ。どんなスポーツでもそうだけど、口だけで指導できないのよ。実際に体を動かして、技を見せて教えないと。特にフェンシングは口では教えられません。僕、今では体が動きませんよ」。
ふーん、と納得する私に、「梅岡さんは、口先だけで仕事を教えますからね」と後輩がジャブ。「わかった。これからは手も足も出して仕事を教えようか?」と私はストレートを。
これって、言葉のフルーレ? いいや、単なる言葉の暴力かもね。















