栗本薫という作家、30年かけ8年の時の流れを書く
作家の栗本薫さんが5月26日に亡くなった。56歳であった。評論は中島梓名義で、小説は栗本名で書き分け、多作の人であった。
栗本さんの本と付き合い始めたのは1979年に1作目が発売された長編SF「グイン・サーガ」からだから、ちょうど30年のことになる。現在は本編が126作品目で、本編から外れた「外伝」が22作発表されている。一人の作家による単独執筆では世界最長の小説、と言われている。
最初は、引きずり込まれるように読んだ。しかし、仕事が忙しくなると、買うだけ買って積読し、時間ができるとまとめて一気に読んだものだ。それでも、新刊が発売されるのが待ち遠しかった。
しかし、物語が延々と続くとあって、果たして栗本さんは全てを書き終えられるのか心配になってきた。30年をかけて書き進めた物語の中の年月は8年しか経っていない。14歳だった登場人物は22歳になったばかりなのである。
「グイン・サーガ」を読み始めたのは29歳の時で、今はもう59歳である。物語の中では、登場人物に子供まで生まれている。果たして100歳になったとしても物語りはどこまで進んでいるのだろう。
そうしているうち、1990年に癌になったという。
私は、推理小説でも、あまり犯人探しに熱心な方ではない。小説の主人公が謎解きをしてくれるのを楽しみにしながら読み進めるほうである。手品でも、タネ探しには興味がない。マジシャンが驚かしてくれて、だまされることを楽しませて欲しいのである。
しかし、今度のケースは違った。長編SFの結末が不明のままというのでは、この30年間、何を思って物語を追いかけてきたのだろう。
実は前にも、同じように悔しい思いをしたことがある。半村良さんの「太陽の世界」がそうだった。お気に入りで、物語の登場人物から名前を採り、我が家の犬の名前にしていた。それが、突然のように終わってしまった。まだまだ続きがあるように感じていただけに、残念だった。
そこへ、2007年に再び、癌になったという。本人の後書きを読んでいても容態は重いらしい。そこで、自分で物語の続きを予想してみた。自分なら、こういう結末にしたい、ということである。そして、自分なりの物語に仕上げてしまった。あとは、栗本さんに、途中の物語を紡いでほしいと願うようになった。
しかし、残念な報せは早すぎた。ある報道によると、原稿はあと4冊分ほど書き貯めてあるらしい。本編が130冊ということになる。できることなら、その中に外伝が1冊入っていて、遠い未来の完結が書かれていたら素晴らしい、と祈っている。
この長編の中で、一番気に入っているのは外伝16「蜃気楼の少女」です。
永い間、楽しませていただき有り難うございました。合掌。















