お好きなのはレア?
10日(月)の午前9時過ぎのことだった。第1スタジオ前の受付の電話が鳴り出した。リスナーから番組に対する感想だった。今、終わったばかりの「小さな喫茶店でアルバム聴けば」だった。担当はKお嬢。70年代のアルバムを素材に放送しているものだ。
一瞬、週の頭から苦情だろうか、と一瞬緊張したが、「こんなレアな曲をかける番組があるなんて初めて知った」と、感激してのものだった。スタッフ一同、ほっと胸を撫で下ろした。
そのアルバムはシンガー・ソングライター立原累が1975年に発表した「流浪(さすらい)」というタイトルだった。
私は、発表当時はもう社会人になっていて音楽も聴かなくなったころで、もちろん立原累の名前も聞いたことがなかった。
どうしてKお嬢は、こんなレアなアルバムを探してきたのか、疑問は尽きなかった。が、答えは分かった。レコードの宝庫であり、FM-N1の貴重な音源にもなっている金沢工業大学のポピュラー・ミュージック・コレクション(PMC)の20万枚のレコード棚の裏の裏に保管されていたのを見つけたらしい。
FM-N1随一の音楽通であり、PMCの守り神ともいえるロイ・キヨタさんでさえ感心していた。もちろん、ロイさんは私と違って立原累を知っていたのだが、Kお嬢の振る舞いに感服しきりであった。
「普通はジャケットだけを見てレコードを選ぶことが多いのだが、彼女は歌詞カードまで広げて、確認の上で決めたらしい。なかなか出来ないことだよ」
そう言えば、Kお嬢は以前、70年代の歌詞は難しくてよく理解できない、と泣きべそをかいていたこともあった。特に、あがた森魚、ともかわかずきには大苦戦だった。三上寛にも手こずっていた。
それが、歌詞をみて「これだ!」と思って選んだというのだから、少しは成長したのだろうか。
電話をかけていただけたのは、金沢市内の40~50代の男性のようだったという。お盆休みでもあったのだろうか、いつもは聴かない時間帯にラジオのスイッチをいれていた様子だった。どこに縁があるか分からない。陰に隠れた努力が実って、リスナーに喜んでもらえたわけである。
Kお嬢も、レアなアルバムを番組に料理することができるようになった。ただ、ステーキとちがって、音楽の表面だけを味わうのではなく、もっと深いところも料理してほしい気がする。その日も近いうちだろうが・・・















