立子を間違え、あいさつ句を習う
年の瀬が迫ってきた。この頃になると高浜虚子の句「去年今年貫く棒の如きもの」を思い出す。虚子が身近に感じられるようになったのは司馬遼太郎の「坂の上の雲」を読んでからである。しかし、この句だけは以前から、来し方行く末を考える年末になると浮かんでくるのであった。
それくらいの知識だったが、虚子の曾孫である星野高士さんを迎えて「星野高士の俳句サロン」の番組が始まったのは10年ほど前のことである。日本語の美しさ、短詩形の様式美など教えられることが多々ありました。しかし残念ながら、12月いっぱいで放送を終了することとなりました。
12月26日午前9時からの放送が最終回(再放送は同28日午後1時半~)となります。
番組開始にあたって、地元の俳句の先生の所へあいさつに行き、赤っ恥をかいたことがありました。虚子の娘さんで高士さんの祖母に当たる星野立子(ほしの・たつこ)という有名な俳人がいますが、緊張してしまい、この人を「りつこ」と言ってしまったのです。もちろん、先生に叱責されました。
この程度の知識しかないものがこの先、番組を制作していけるものなのか不安に襲われました。今となっては懐かしい思い出(他人には伏せていたが)である。
立子の読み方だけでなく、番組を通して「あいさつ句」というのも習いました。吟行の時など、訪れた場所を読み込むことで、句作にとっては大事なことだ、というのです。
番組の中では、地元の俳句愛好家の方から投句を募って、高士さんの添削を受けるのであるが、最後の回となる12月分には、これが最後となると知った金沢市のNさんから、締め切り後に滑り込みで投句がありました。その中の一句が
「年果つる俳句サロンも果てにけり」
でした。リスナーの心情を表したあいさつ句であり、番組終了のことも忘れて、しばし感心させられました。
もう一句。野々市町のTさんの
「年の暮思はぬ別れある事も」
について、高士さんは「また会うこともありそう」と、惜別の評をしていました。
不安を抱えた番組の開始でしたが、リスナーの熱心な投句に支えられて10年が経ちました。番組は年の瀬で終わり、正月へと続くことは出来ませんでしたが、そこには何か目に見えぬ「貫く棒の如きもの」があると感じ入っております。
ひと足早いのですが、お世話になった皆様に心から感謝申し上げます。














