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FM-N1ヘッドライン

1ヵ月も経たずに、浅川マキ

 あれから、まだ1ヵ月も経っていない。まさかと耳を疑いたくなる事だった。世の中「一寸先は闇」ということは承知のうえなのだが、これまでの人生の中で何度、後悔させられたことだろう。

 あれから、というのは昨年12月27日のFM-N1開局14周年特番の放送日からであり、耳を疑いたくなった事とは、先日17日に急逝した浅川マキさんの事である。

 14周年特番は、当初の企画として、地元出身の歌手である浅川マキさんを取り上げる案が有力だった。地域のメディアとして、それなりの評価をするという意味からも、準備に入っていた。そう思い立たせた理由の一つは、浅川さんとも音楽で結びついていたギタリスト飛田一男さん(元めんたんぴん、ロック・イベント夕焼け祭主宰)の一昨年の死去だった。

 飛田さんの特集を組みながら、浅川さんの特集をしようとの思いが強くなっていたからである。

 それなのに、なぜ企画を変更したのか? 生来の浮気症と言えばよいのか、信念がなく目の前の出来事に振り回されるのか、優柔不断そのものだった。

 一つは、エレキ・ギターを考案したレスポール氏の訃報であり、もう一つは音楽プロデューサーの加藤和彦さんの急逝であった。両者とも、日本の音楽界に与えた影響が大きく、日頃、ラジオ放送における音楽の役割を痛感していたからである。

 急遽、企画を変更し、レスポール氏のために「エレキにしびれて! もっとしびれて」を、加藤和彦さんのために「あの素晴らしい歌をもう一度」の14周年特番を制作したのである。

 今、浅川マキの「かもめ」と、ちあきなおみがカバーした「かもめ」を聴き直したところである。それぞれの味わいがあるのだが、ついつい、ちあきなおみが菊池章子をカバーした「星のながれに」も聴いてしまった。

 人生は陽の当たる場所だけではない。運命とでも言うのか、陽の射さない場所で生きる人たちもいる。と言っても、陽の当たる場所の人たちだけが立派なのではない。そこには別の悩みもあるからである。ともに人生に悩み、悲嘆にくれながら生きていることも多々あるのである。

 陽の射さない場所の住人たちを歌うことで、より人間のありようを訴えているような気がして、ついつい引きずり込まれてしまうのである。

 FM-N1の「音楽の心得」で一番に挙げているのが指揮者の宇宿允人さんの言葉である。「真の音楽とは人生の悲しみを謳ったものだ。だからこそ、人の苦しみ悲しみを癒すことができる。何より偉大な芸術作品とは人間である」。

 この言葉をかみしめた後、浅川マキとちあきなおみの「朝陽楼」を聴き比べてみよう。

Permalink | 2010年1月20日 09:35 | 宮崎正倫