AもCもいらない、B級が好きなんだ
最近、歳とともに、食に対する執着が薄くなってきた。10年来のダイエットが祟って、胃が小さくなり、食は細るばかりだった。そのせいか、体調を崩してしまった。今では、薬を飲んで腹が膨れるありさまである。晩酌で流し込もうとしても、入っていかない状態となった。
これでは、ならず。昨年後半からは食欲増進の努力を始めた。一念発起と言えば大げさだが、晩酌の酒のランクを上げ、旨い日本酒で流し込もう、という魂胆だったが、見事に成功したようだ。
それまでも、グルメとは縁遠い生活で、A級の料理は口に合わず、B級が相場だった。が、体調を崩していたころは、C級というのか、栄養分の少ない食事になっていた。再び、B級に復活して喜んでいた。
ところがである、年長スタッフのT君がボソリとつぶやいた言葉に引っかかってしまった。
「それはB級で、A級とは思えない」
もちろん、T君のことだから、料理の話ではない。彼のC級好みは知っている。T君といえば、音楽の話である。
実は、今日(2日)の番組「回って歌って80年」の事だった。あなたの失くしたレコードを見つけよう、という趣旨で放送している。
本当に、今では聴かれなくなったレコードを見つけ出してくれ、喜んだことも何度となくあった。
今回は九重祐三子&ダニー飯田とパラダイスキングの曲「ハートでキッス」だった。
歌いだしの九重祐三子の声がプリプリに張っていて、久しぶりに聴いた一曲だった。歌が好きになったのは、パラダイスキングの影響も大きかったと思っている。
早速、T君の下に駆けつけ、「良かった。久しぶりに聴いた」と伝えたところ、返事が「それはB級ですよ。いつ放送しようかと、棚の隅に置いていました」と返事が返ってきたのです。
「君はいつからA級が好きになったんだ? C級専門だったのではないのか。そう言えば、その後、スマップのライオン・ハートを流していたな。FM-N1ではB級が主流なんだぞ。A級はいつでも聴けるが、B級は機会が少ないんだ」と文句を言いたかったが、ぐっと言葉を飲み込んだ。これでまた、腹が膨れてしまうかもしれない。
言葉を飲み込んだのには下心があるかである。なにしろ選曲するのはT君なのだから。機嫌を損ねてはいけないからである。
部屋に戻って見ていると、T君はCD棚の隅の方に歩いていった。よしよし、これでまたB級が採用されそうだ。次は、何を見つけてくれるやら…














