塩竈から届いたカナリアの声
2011年5月17日 12:44
今朝の何気ない会話からだった。スタッフ橋本くんが「支援にいった塩竈のベイ・ウェーブもサイマル始めてますね。」と教えくれた。
N1いぬわし隊を結成し宮城県の塩竈ベイウェーブ、ラジオ石巻、そして岩手県のみやこ災害FMを訪ねてから1ケ月が経つ。4月15日、16日に私たちは東日本大震災で被災したコミュニティFM3局に支援物資を届けた。その支援の中で最も渡したかったのが音楽設備だった。N1の音源サーバーから約5万曲、そして放送でつかえるようパソコンを用意し塩竈のベイ・ウェーブにも手渡した。ただ被災してからまだ日が経っていなかったため、ベイ・ウェーブの責任者である横田さんからは、放送は被災情報が中心でまだ音楽をかけられる余裕がないとの言葉をかえされてしまった。
エヌワンは‘真の音楽は人の哀しみを癒す’という指揮者 宇宿允人氏の言葉を心得としています。音楽のチカラを信じています。
そんな中、5月11日からサイマルでの発信もはじめたベイ・ウェーブの放送を聴くと、耳馴染みのカナリアの声がした。ダイナ・ショアかと思ったが違う、日本語詞も交じる雪村いづみ「青いカナリア」だった。心があつくなった。アナウンサーの曲紹介はない、タイムテーブルをみると通常の番組とは違うようなので音楽をひたすらかけているのだろう。でもその音楽をきいて体の芯からあつくなった。
震災後、ベイウェーブは塩竈市役所内の一室を間借りし放送を続けている。4畳半ほどの広さのスタジオ兼事務所だ。実際いぬわし隊としてその場を見た私たちはそこにCDなど音楽媒体がほとんどなかったのを覚えている。だとしたら今放送でかかっている「青いカナリア」はN1いぬわし隊が支援として届けた音楽ではないか。放送にも役立っているのではないかと勝手に考えてしまう。
青いカナリアに耳をかたむけていると「愛の子守歌をうたいましょう、かなしい言葉は小川に捨てよう」と歌詞がきこえてきた。かなしい言葉は捨てようと思っても心に刻まれてしまうものではないか。でもそのときに自分と心通う愛の歌がきこえてきたなら、哀しみを癒すことができるのだと思う。‘真の音楽は哀しみを癒す’という宇宿氏の言葉があらためて頭をよぎる。
現在、宮城県の都市輸送の中心となっている仙石線は仙台から東塩釜まで運転を再開し、今月下旬には東塩釜から松島の高城町までが復旧予定という。「青いカナリア」の次にかかった岡本敦郎「高原列車は行く」をきき、また心にチカラが湧いた。