匂うのは・・語りか。
2012年1月 6日 17:04
開局16周年特番「韓紅に水くくるとは」を昨年末放送した。
担当したのはワタシと新人スタッフ望くん。
「千早ふる 神代もきかず 竜田川 韓紅に 水くくるとは」
在原業平の和歌を拝借したタイトルで、‘色’について二人で勉強したのだった。
しかし、‘色’よりも‘語り’を学びたい望くんは番組の中で日本語を教えろとせがんできた。
では日本語の基礎となる‘いろは歌’は知ってるかと問うと、
「いろはにほへと ちりぬるを」とスラスラでてくるではないか。
では「色は匂へど」とはどんな意味か問うと、色が匂うはずはないと言う。
まだまだである。
ワタシは以前「色は匂へど いとをカシ」という番組を担当していた。
日本語詞を勉強しようと企画したものだった。
しかしタイトルの真の意味を理解できていなかった。
「色は匂へど散りぬるを」
花の色は鮮やかに映えるけれど、いずれは散ってしまうものなのに・・
匂うは嗅覚ではなく視覚的な意味であることを。
当然、番組は暗礁に乗り上げ改編を待たず打ち切り。
この時ばかりは‘水をくくろうか’とも思ったほどだった。
思い出してもイヤな汗が出る。
匂いの本来の意味は「韓紅に 水くくるとは」を準備するにあたり、
京都の染織家 吉岡幸雄さんの著書を読み理解できたことであった。
だからこそ、16周年開局特番の中で得意気に望くんに教えてあげた。
彼も納得したようだった。
そして彼は特番の最後に「意味こそちょっと違うけど匂うような語りをリスナーに聴かせたい!」と
華やかな語りの上達を番組内で宣言していた。
そんな望くんが番組の最後にワタシに一言。
「ナカムラさん、ニオイますね~!」当然彼とはキャリアが違うと満面の笑みがこぼれたが
「Yシャツが・・」と付け加えてきた・・熱く語れば汗も出る。
「汗は匂へど いとをカシ」
イヤな汗がでる番組はもう勘弁。