おいしい! おいしくない!? 野々市の水ってどうなの?

南部浄水場の水道管

南部浄水場(新庄2丁目)に町で使われている直径80cmの水道管が展示されています

野々市町の水について、他の県などから移り住んだ転勤族、学生からいろいろな感想を聞きます。
「うまい」と人も言う人もいれば、逆に「うまくない」と言う人もいます。味覚は個人の好みの問題が大きいようですが、「おいしい水の条件」とは何でしょうか。
昭和59年に、当時の厚生省の「おいしい水研究会」がさまざまな基準値を発表しています。いろんな数値が並ぶ中で、「カルシウム、マグネシウム(硬度)が10~100mg/l」とあります。

おいしさを左右する硬度

水道水やミネラル・ウオーターなどの飲料水には、ミネラル分が含まれています。そのうち、カルシウムとマグネシウムを炭酸カルシウム量の数値として表したのが硬度です。硬度にはアメリカ硬度、ドイツ硬度などがあり、日本の水道はアメリカ硬度、日本酒業界ではドイツ硬度が使われています。
一般に、「日本の水は軟水で、ヨーロッパは硬水」と言われています。確かに、ヨーロッパのミネラル・ウオーターで、ラベル表示を見ると、ほとんどが硬水、逆に、日本のほとんどが軟水と書かれてあります。

南部浄水場で

南部浄水場で

硬度がやや高めの伏流水

では、野々市町の水道水はどうなのでしょうか。 野々市町の水道水は、75%が地下水、つまり、手取川の伏流水で、残る25%を県水と言われる石川県営水道でブレンドしています。県水は、手取川ダムの浄水です。地下水、県水のいずれにしても、野々市町の飲み水は、手取川の恩恵を被っているわけです。
地下水は町内に10カ所ある井戸でくみ上げ、3カ所の浄水場に集められて、各家庭や事業所に送られています。町では、毎月、各井戸と浄水場の水質検査を行っています。3つの浄水場の昨年平均の硬度は88でした。WHOの基準では「中程度の軟水」になります。
実は、面積が13・56km2の小さな野々市町にある3つの浄水場でも硬度がそれぞれ違っています。南部浄水場69、北部106、東部89で、その平均が88というわけで、どの町や市でも住む場所によって硬度が若干異なっています。

経塚公園「泉の広場」(御経塚2丁目)

経塚公園「泉の広場」(御経塚2丁目)

「うまい」と飲食店の関係者

一般に、「軟らかい感じのする軟水の方がおいしく感じる」と言われます。硬度が低い金沢の水の方が野々市よりもおいしいのでしょうか。
金沢と野々市で、水を使う仕事をしている喫茶店主や料理店主に話を聞くと、「ほとんどの人にはその違いは分からない」「どちらの水もおいしいと思う」と口をそろえます。
野々市町在住で、金沢市三馬で喫茶店を経営するHさんは「普通のコーヒーは硬水だと味が出にくく、エスプレッソは硬水の方が良いと言われています。確かに野々市の水は金沢より硬度が高いのですが、コーヒーの味に差は出ないでしょう」と言います。
また、金沢市久安から野々市町粟田に引っ越して飲食店を営むSさんは「前に住んでいた金沢の水道は鉄分が多かった。水道管が古かったのかも知れず、野々市町の水はうまいと思う。修行した場所が大阪や京都だったからね。石川県の水は総じてうまいよ」と話します。
人は、産湯をつかったところの水が一番だと感じるようです。「水が合う、合わない」という言葉は、おいしい水に恵まれた日本らしい、言い得て妙なる表現と言えるでしょう。

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