写真:土器作成風景

わ~い、縄文土器を作ったよ

野々市町ふるさと歴史館で「夏休み古代体験」

 野々市町は石川県で一番小さな町ですが、国指定史跡が二つもあります。縄文の御経塚遺跡と、飛鳥時代の末松廃寺です。御経塚遺跡は、北陸で最大規模の縄文集落で、現在は史跡公園として整備されています。また、発掘された祭儀具の土偶や石製品などの量は全国でも数が多く、これらの遺物は公園に隣接する野々市町ふるさと歴史館に展示されています。御経塚遺跡のことを多くの人に知ってもらおうと、毎年夏、ふるさと歴史館を会場に「夏休み古代体験」が行われ、たくさんの人が参加しています。その様子を取材しました。

縄文ロマンを求めて金沢からの常連も

小学生の娘が土器づくりにはまって、今年で4年連続の参加です。手づくり土器が家に増え、玄関などに飾っています。私たち親子にとって、この催しは夏休みの恒例行事になっています」。

写真:土器作成風景

串や竹べらを使って、器に模様をつけていきます

写真:御経塚式土器

多様な土器が出土している中で、「御経塚式土器」と呼ばれる御経塚遺跡独特の土器もあります
(野々市町教育委員会提供)

 こう笑顔で話してくれたのは、金沢市土清水の山本久美子さん・ひかるさん親子です。取材に訪れたのは夏休みに入った 直後の土曜日。ふるさと歴史館の職員やボランティアの助言を受けながら、参加者は竹べら、串、縄などを使って真剣に土器づくりに励んでいました。

 夏休み古代体験は、平成13年度から始まり、今年で8回目の開催です。今年は7月19日(土)から27日(日)までの土曜日曜に合わせて6回の教室を開き、8月23日(土)には、教室に参加した全員が集まって野焼きをして作品を完成、また、縄文時代の調理体験なども行いました。

写真:土器作成風景

制作には地域ボランティアの皆さんが協力します

 ふるさと歴史館の市村正則さんは、「毎年、百人ほどが参加する人気ある催しです。野々市町はもちろん、金沢市や白山市からも申し込みがあり、親子で古代のロマンに触れられることに人気があるようです」と、御経塚遺跡の存在を町内外の多くの人に知ってもらう機会になっていることを喜んでいます。

写真:昨年の野焼き風景

わーい、作品が出来あがったぞ!
(昨年の野焼き風景)

御経塚遺跡

北陸で最大級の貴重な縄文遺跡です

写真:史跡公園

ふるさと歴史館に隣接する史跡公園には竪穴建物が復元され、見学コースが作られています

御経塚遺跡は、北陸で最大級の縄文遺跡です。集落が栄えたのは、今から約3700年前(縄文時代後期)から約2500年前(晩期終末)までの1200年の長い期間です。

 御経塚遺跡からは、竪穴住居6棟、方形建物13棟をはじめ、祭祀施設との説もある円形建物20棟などが発掘されました。また、祭儀具と思われる土偶や石製品の御物石器、石棒など、全国的に見ても数多い出土品が出てきました。1977(昭和52)年に国指定史跡になり、1983年からは隣接する野々市町ふるさと歴史館で出土品が展示されています。

写真:御経塚集落のジオラマ(ふるさと歴史館)

ふるさと歴史館には、縄文時代の御経塚集落のジオラマが展示されています。中央に建っているのは環状木柱列。クリの大木を半分に割った柱8~10本を等間隔に並べたもので、祭祀の重要な空間だったとする説も(野々市町教育委員会提供)

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