ジャズの大御所と意気投合
野々市町を本拠地にして活動している社会人アマチュア・ビッグバンド「ムーンライトJAZZオーケストラ」は、平成5年(1993年)の「全日本社会人ビッグバンドコンテスト」で優勝。そのご褒美として世界3大ジャズフェスティバルのひとつ「モントレー・ジャズ・フェスティバル・クルーズ」に招かれました。
その際に訪問したニューヨーク総合芸術大学「NEW SCHOOL」で、ジャズのアカデミックな側面と口承による伝統の統合した音楽教育に触れ、教授をつとめるビッグなミュージシャンたちと意気投合。教授側から「君たちの活動している町で本場のジャズのスピリッツを伝えたい、そういうことは出来ないだろうか」という話が飛び出しました。
帰国したメンバーは、早速この話を野々市町に打診したところ、「町の国際交流の一環として全面的に協力しましょう」ということと、観光としてアピールできるものが少なく、特徴のある文化の発信を模索していた町側とトントン拍子に話が進み、「BIG APPLE in Nonoichi」が誕生しました。
商売ではなく魂の触れ合い
最大の特徴は、ニューヨークから超大物を招くにもかかわらず、プロモーターには来日メンバーのアサインなどの最低限な業務だけを委託し、主力は多くのジャズを通して知り合った素人たちの手づくりで企画・準備・運営していることです。
ミュージシャンたちは、このイベントがスタッフの強力な熱意で催され、商売が目的ではないことを理解しているので、ほとんど実費で来日してくれます。まさに人と人とのつながりで生まれ、行われている人間味あふれる温かいイベントなのです。
NYそのままに演奏指導
目玉は、実はコンサートよりも前日に開催されるワークショップ&クリニック。来日したミュージシャンが、複数の公開された講習会や講座を行います。ニューヨークの音楽学校で行われている指導形式そのものを野々市に持ち込んだ、他の都市の音楽イベントでは見られないユニークな催しです。
ニューヨークメンバーから直接楽器の演奏指導を受けられるということで、例年全国から受講者が集まります。これに参加した人たちは、本場ニューヨークの音楽教育を直接体験することができ、ジャズのスピリッツを受け止めることができるのです。
講師陣とジャムセッション
さらに、ワークショップ&クリニックは、ジャズオーケストラ、ピアノ、トランペットなどグループやパートごとに分かれて有料で開催されますが、見学は無料で楽器を演奏しない人でも自由に見て廻ることができます。あなたも是非ワークショップ&クリニックを体験してください。
締めくくりとなるブルースジャムセッションでは、講師たちと一緒に曲を演奏します。われと思わん参加者は次々に飛び入りでアドリブ演奏し、延々とステージが続いていきます。
ビッグ・アップルでは、毎回ワークショップ&クリニックとコンサート来場者にアンケート調査を行っています。
過去3年間のデータ(平均回収率40%)を見ると、地域別の参加者は、野々市町16%、県内76%、県外8%となっており、野々市町住民の参加が少ないのがわかります。反面、県外からの参加者は2005年5.5 %→2006年7.7 %→2007年11.8%と段々と伸びてきています。
男女別の差はあまりなくほぼ半数。年代別では10歳代~70歳代と幅広い年齢層が参加しています。最も多いのは毎回50歳代となっており、家族づれでの参加も多いようです。アンケートに記入された参加者からのコメントの一部をご紹介します。
「この値段で本物のジャズの演奏が聴けるのは素晴らしいです。野々市町のビッグイベントとしてこの先も続けてほしいです」
「埼玉から泊りがけで来たかいがありました」
「戦後多くのジャズを聴いて育った世代としては、本当に生の演奏を久し振りに満喫しました。それにしても入場料が安いのには驚きます。しかし、若いファンが大勢いたのはうれしく思いました」
「ローカルなアマチュアバンドとはいえ、進行から曲紹介までアカ抜けして素晴らしかった。野々市町に、ローカルバンドに、乾杯!頑張ってください」
また、最近ではインターネットの普及により、ビッグ・アップルに来場した方々が自分のホームーページやブログでいろいろな感動や感想をくわしく表現してくれています。
ビッグ・アップルの歴史は、ののいちタウン情報局(http://www.e-camellia.jp)をご覧ください。
ビッグ・アップルが4回目の開催となる平成10年(1998年)の春、金沢にあるニューヨー芸術学校の姉妹校で講師をしていた外国人の方が、パソコン通信でニューヨーク市へ「BIG APPLE in Nonoichi」を紹介する情報を発信しました。
年間約300万件ともいわれるニューヨーク市に向けた情報の中からピックアップされ、それに応えよとの当時のルドルフ・W・ジュリアーニ市長の指示で、ニューヨーク市文化局から次のメッセージが届けられました。
ルドルフ・W・ジュリアーニ ニューヨーク市長及びニューヨーク市のジャズ関係者一同に代わり、野々市町と町民の皆様にニューヨークからの熱くかつ温かいメッセージを伝えるべく、ご挨拶申し上げることは、大きな喜びであります。
ニューヨーク市及びニューヨーク市民は、野々市町と共同で音楽芸術の伝統を育む事業に携われることを誇りに思いますと同時にこの事業の成功を心よりお祈り申し上げます。
ニューヨーク市 文化局
コミッショナー スカイラー・G・チェィピン