「ののいちっ子を育てる町民会議」が推進役
教育には地域の力が欠かせません。しかし、地方にも都市化が進み、地域が持っていた共同体の連帯感や教育力を急速に失いつつあります。そんな中で、石川県野々市町には全国に誇る青少年の育成団体があります。「ののいちっ子を育てる町民会議」です。22年前に設立されたこの民間団体が中心になって、先進的なさまざまな取り組みを小中学校や保育園、保護者らと連携して手がけ、全国の自治体や教育界からモデルケースとして注目されています。
月1回「ノーテレビ・ノーゲームデー」
子供がこんなにしゃべると思わなかった
きょうはどんな絵本を借りていこうかねえ」「お母さん、これがいい」。
3月4日(水)午後4時。富奥保育園(野々市町中林5丁目)に園児を迎えに来た母親が本棚の中から絵本を探しています。
野々市町の保育園では、5年前の平成16年から毎月第1水曜日に「ノーテレビ・ノーゲームデー」に取り組んでいます。正確には、この年の2、3年前からすでに町の保育士たちによる保育研究の一環として、親と子が会話を深めることを目的に、毎月1回、家庭でテレビをつけない日を設けてきました。その内容や方法は、町にある保育園にそれぞれ委ねられています。富奥保育園では、「ノーテレビ・ノーゲームデー」のポスターを貼り出し、お母さんと子どもが心をふれ合えるように絵本を貸し出しています。
保育園から小中学校に徐々に広まる運動
町の保育園がいち早く取り組んできた「ノーテレビ・ノーゲームデー」は、今では小中学校にまで広がりを見せています。この活動を主宰しているのが、民間団体「ののいちっ子を育てる町民会議」(会長・藤力野々市町連合町内会会長)と、小中学校の校長や指導担当教諭、保育園の園長、教育行政の担当者などが名を連ねる「野々市町生徒指導連絡協議会」(会長・北村俊一野々市中学校長)です。この二つの団体で重複している構成メンバーもいますが、前者はあくまでも民間団体、後者はより行政色の濃い団体です。